格安SIMとスマホ比較」の過去ログと管理人の日常ログです。

FREETELの行政処分における問題点と解決策、正しい情報を得る難しさ

格安SIMと格安スマホを展開するプラスワン・マーケティング株式会社のフリーテルが、消費者庁により優良誤認表示により行政処分を受けました。

プラスワン・マーケティング株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について(PDF)

ネットでは大きく取り上げられて、NHKでも放送されましたが、本質的に何が問題だったのかよくわかっていない論調になっています。これは、実際に使っていない人が、文章の揚げ足どりのような批判をしているのが多いためです。

そのため、実際にFREETEL SIMを契約して、長期にわたって実効速度を計測して記録している格安SIM/ドコモ/WiMAXの速度ランキングの記録より、ネット上で得られる最も正確な情報をお伝えします。

端的にすると、FREETELは公式ページで下記の表示を行なっていました。何が問題なのかわかるように、一部改変しています。

FREETELは公式ページに記載されていた内容の問題点

もともと掲載されていた画像

結論は以上です。もっと詳しく知りたい場合に、読み進んでください。面倒なので、若干飛ばしている箇所があります。

FREETEL(フリーテル)の詳細評価

FREETELの記載内容の問題点の解説

消費者庁がいくつか指摘している問題点のうち、シェア1位やLINEの一部の利用用途でデータ消費するとかは、細かい話なのでぶっちゃけどうでもいいと思っているので無視します。

最大問題点は、『業界最速』の通信速度の表記と速度比較グラフです。

FREETELの言い分は下記になります。

「『業界最速』の通信速度」の表記に関し、平日昼間12時台における比較であること等の注記を行なっていなかったこと及び、速度比較グラフにおいて体裁を整えるべく出所元から転記した際に誤記があったこと

ITproの調べによると、FREETELは「Webニュースサイトが月次で実施・掲載している速度測定のうち、2016年1~10月の記事を参考に作成した」とのことです。このWebニュースサイトは一部では、ITmediaの定点観測なのではと言われています。可能性的には高いように思えますが、確証はありません。

ITmediaは以前から実効速度にならない計測アプリのみの計測結果を公開してしまっていましたが、もしかしたら悪用されたのかもしれません。

FREETELは誤記があったことを認めていますが、正しい数値は記載されていません。そこで、格安SIM/ドコモ/WiMAXの速度ランキングの記録から引っ張り出してきた、FREETELの当時の実効速度は大体の数値は下記になります。

2016年1月〜10月までの、FREETELの平日昼の実効速度 0.8Mbps
2016年11月〜12月末までの、FREETELの平日昼の実効速度 0.45Mbps

ざっくりとした数値ですが、だいたいこんなもんです。計測場所により数値が動きますが、I社(ほぼ100%でIIJmio)が0.3Mbps強になっていることから、かなり近い数値になっていると思われます。ちなにみO社はほぼ100%でOCNモバイルONEです。

※ FREETELは2016年9月から実効速度の低下が始まっています。そのため2016年1月〜8月末までにすると、平日昼の実効速度は0.9Mbpsくらいになります。

FREETELが平日昼でも5Mbps強の速度が出て速いと記載していましたが、実際には0.8Mbpsです。この違いは何なのかと言うと、格安SIMの中には計測アプリの速度結果だけ速くしている格安SIMが存在しているためです。

有名どころは、FREETELと楽天モバイルです。

楽天モバイルはFREETELのように速度を掲載していなかったので、消費者庁から逃れることができましたが、FREETELはバッチリ載せていたため消費者庁から刺されました。

このサイトでは計測アプリの速度結果には頼らずに、利用用途ごとに、こまめに速度計測を行なっています。そのため本当の実効速度を把握することができ、このような指摘を行うことができます。

シェア1位や、LINEのデータ通信量の無料表記なんて、どうでも良い問題です。実際に出る通信速度を謀ったことが、今回の行政処分の主因だと考えています。

過去にうちのサイトを参考に契約してしまった人、ごめんなさい

偉そうに指摘していますが、実のところ、うちのサイトもFREETELを褒めていた時期があります。期間は2016年2月から2016年10月です。

ごめんなさい。

経緯を説明します。オフレコっぽいものが含まれるため、該当しそうなものはぼかして記載しますが、下記が経緯になります。

FREETELは、2014年11月にフリモバという名前で格安SIMのサービスを開始しました。速度がかなり遅いという評判で、評判はすこぶる悪かったです。このサイトでは2015年6月からフリモバを契約して通信速度の測定を開始しました。実際に測定したところ、確かにクソ遅かったです。当時の評価記事で使う価値はないと評価していました。

2015年7月に現在展開しているFREETEL SIMという名前で新しく格安SIMのサービスが開始されました。

このサイトでは2015年9月にフリモバからFREETEL SIMへ移行して、9月からFREETEL SIMの計測を始めました。噂ではFREETEL SIMは超速いとのことでしたが、実際に計測してみるとFREETEL SIMは超速かったです。ただし、フリモバのこともあり、どうせFREETELのことだから、数ヶ月で低下するだろうと思って、FREETEL SIMに対してはかなり信じていない評価を行なっていました。

それからしばらくして、2015年12月ごろになっても、FREETEL SIMがいまだに超速いので、いつまでもフリモバの件で罵るのはマズイのではないか?みたいな考えになってきて、とある出来事により、2016年2月に全面的な評価替えを行い、FREETEL SIMを勧める内容に変更しました。

2016年2月末にFREETEL SIM等の格安SIMで計測アプリの速度を速くしていることが判明しました。ただし、それでも計測アプリ以外の利用用途でも、格安SIMの中ではUQ mobileに次ぐ速い通信速度が出ていたので、ボコりませんでした。

計測アプリは超速い速度になっているけど、実際に出る実効速度もかなり速いので、注意書きはしていたと思いますが、問題はないという評価を行なっていました。

そんなこんなで、実際この期間のFREETEL SIMを使っていた人は、かなり満足度が高いかと思います。それが変わったのが、2016年9月です。

2016年9月にFREETEL SIMの実効速度が突如低下しました。格安SIMの通信速度の短期的な低下はたまにあるので、1ヶ月もすれば改善されるだろうと楽観視した評価を行いました。このころ、一部のサイト収益が半壊しました。

その楽観視の風向きが変わったのが、2016年10月です。いまだに実効速度の改善が見られず、逆にFREETEL SIMの実効速度が低下していきました。このころ、一部のサイト収益が壊滅しました。これヤバいんじゃないか?という感じになって、評価に警告を追加し始めました。FREETEL SIMは業界最速じゃない、誰かに殴られろ!みたいな評価をし始めたのが、この頃です。

2016年11月も悪化して嘘こけボケと評価して、2016年12月もさらに悪化して、完全に速度重視を放棄したと評価するに至りました。2017年1月に戻ることはないと断定して、FREETELの評価を全面的に切り下げました。

というのが、長くなりましたが、このサイトのFREETEL SIMの評価の経緯になります。

時期によって速度が変動する場合があると記載していますが、ここまで急変することは予想できませんでした。

正直言いますと、一部のサイト収益が壊滅状態にならなければ、撤退判断が1ヶ月は遅れたと思います。

FREETEL SIMは使いものにならないのかについて

FREETEL SIMの通信速度は格安SIMの中では少し遅い、もしくは時期により遅い程度になります。0SIMのようにミラクソ遅いというわけではありません。

Webサイトを見るくらいなら、割と普通に見ることができます。快適かというと、微妙かもしれませんが、そこまで糾弾するほどでもありません。

ただし、アプリのダウンロード速度やファイルのダウンロード速度がかなり遅く、Youtubeの再生時の通信速度もそこそこ遅くなっているので、これらの利用用途において、他の格安SIMと比べて、だいぶ悪い体感速度になります。

FREETEL SIMでも使えるよ!という人は今でもいると思います。そういう人たちが嘘をついているのではなく、そういう人たちの利用用途(主にWebサイトの閲覧)においては、FREETEL SIMでも問題ない速度が出ています。加えて自宅にWiFiがあれば、FREETEL SIMでもだいたいは問題なく使うことができます。

ただ、確実に業界最速ではありません。加えて、FREETEL SIMは以前は回線を増強するたびに、「最も速い通信速度を提供するためにダブル増速マラソン継続中」と記載していましたが、最も速い通信速度なんて嘘っぱちです。2016年8月までは、そこまで速くないけど、十分速いからまぁいいかみたいな評価でしたが、2016年9月からは嘘っぱちです。

しかも、すごいうざいことに、FREETELは過去の情報も何も言わずに修正します。

以前は「最も速い通信速度を提供するためにダブル増速マラソン継続中」と毎度記載していましたが、この表示がいつの間にやら、「品質保持のためにダブル増速マラソン継続中」という表示にプレスリリースごと修正されていました。

現在FREETELで掲載されいているプレスリリース内容

実際にリリースされたプレスリリース内容 時事ドットコムニュース

2017年3月10日においても、最も速い通信速度を提供すると記載して、今後も通信品質を常に保つと記載したプレスリリースを行なっていました。

2016年9月で通信速度は低下し続けたにもかかわらず、2017年3月10日まで嘘をつき続け、嘘がバレた時には、何も言わずに、品質保持という文章に直す始末です。

正直、ここまでくると、もうどうしようもないと思います。

行政処分におけるFREETELの言い分
当社ウェブサイト上の表示に関する消費者庁からの措置命令について

この文章だけでは、ウェブサイト上の表示が少し誤りがあった程度にしか思えませんが、実態は全然違います。

もはや全面降伏して、全力で謝るべきでした。

FREETELができる、唯一の挽回策

FREETEL潰れろというのは、正直マズイです。責任ある経営陣が路頭に迷おうが知ったこっちゃないのですが、FREETELのユーザ数は10万人以上いると思います。資本金も数十億なので、お金の面での広範囲に影響を与えます。総務省の官民ファンドから15億円を調達したりしています。

もっと小さい時なら、潰れろボケで終われたのですが、ここまできたら、単純に潰れろとかは言うことができません。

そこでFREETELがどうすれば良いのかというと、実は簡単です。実際に出る通信速度を死ぬ気で上げればいいんです。

そもそもの始まりは、通信速度の低下が原因です。この通信速度をどうにかIIJmioくらいまで上げることができれば、根本的な問題点が自然消滅して、シラをきり通して、みんなが飽きるか忘れるのを待てばなんとかなるかもしれません。

格安SIMの自己責任論の問題点、大半の評価サイトがグルになっている

ある程度の格安SIMは、だいたいの使い方で問題ない通信速度が出ます。

ただし、中には実際に出る通信速度がかなり遅い格安SIMも存在しています。

自宅にWiFiがあって、WiFiでしかほとんどスマホを使わないのであれば、格安SIMの実際に出る通信速度はほとんど重要ではありません。自宅にWiFiがない場合や、外でもスマホをそこそこ以上に使う場合に、実際に出る通信速度が重要になってきます。

肝心の格安SIMの実際に出る通信速度の把握の仕方ですが、格安SIMの実態をある程度知っていないと、把握はほぼ不可能です。

まず、稀有な例ですが、FREETELのように速い速いと公式サイトに記載していても、実際にはそんな速度が出ない例があります。繋がりやすさを強調する格安SIMが多数ありますが、実際に出る通信速度とは何の関連性もありません。満足度1位とか表示している格安SIMがたくさんありますが、これもほとんど関係ありません。

次に、これが最も重大な問題なんですが、大半の評価サイトが実際に出る通信速度に関して嘘をつきます。実際には遅い格安SIMなのに、紹介料欲しさに、都合の良い速度データを用意して、通信速度が速いからオススメ!とか評価してしまいます。

おそらく8割がたの評価サイトは故意に嘘をついています。良心的な2割の評価サイトは嘘をついていないのですが、正直見分けることができないと思います。加えて、嘘をつく評価サイトほど、GoogleやYahooの検索結果で先に表示されるという状況になっています。

家電量販店や実店舗で聞けばどうなのかというと、それも無理です。家電量販店は紹介料の多いものを優先で紹介するはずだし、実店舗は、そもそも他社の格安SIMを紹介するわけありません。

じゃぁ、どうしたら良いんだよ・・

おそらく、現在使える手で最も有効なのはTwitterの検索です。Twitterで楽天モバイルやFREETELなどの名前を入れて、評判を探してみてください。Twitterの中にも極端な人がいるので、全てを真に受けると意味不明になりますが、全体的にみてある程度の状態を把握することができます。

最後に格安SIM/ドコモ/WiMAXの速度ランキングの記録が正しい評価になっていることに気づいてくれればと思います。